余裕を失った人間は、獣になる

「人に余裕がなくなった」
最近良く聞く言葉です。
世の中豊かにはなりましたが、心は貧しくなったのでしょうか。
どうでもいい事にやたらクレームを付け、弱い立場の人間をなじって喜んでいる、醜い人間が増えた気がします。
近所の赤ん坊が泣いてうるさい。
近所の公園に昼間、子供が集まって遊んでいてうるさい。
レジの店員の態度が気に入らない、責任者を呼べ。
商品の陳列が気に入らないから今すぐ全商品を撤去しろ。
家の外観が気に入らない、訴えてやる。
本来ならクレームになる訳もないような、ウンコのような理由の数々。
まったく余裕のない心の狭い人たちであります。

ウンコと言えば、このあいだウンコを踏みました。
過去にも暗い夜道で犬のウンコを踏んだことが二回ありますが、今回はちょっと事情が違います。
踏んだ場所は丸ビル地下駐車場のトイレ。
便器に足を突っ込んだわけではありません。
尿意に迫られ、慌ててトイレ(ウンコをする個室のことではありません)に入った瞬間、足下に妙な感触を感じました。
下を見ると、トイレの洗面台付近の床に、長々と2メートルほどの範囲にわたって大量のウンコがボトボトしてあるじゃありませんか。
そのうちの一塊をフルパワーで踏みつけておりました。
なんでこんな所にウンコが・・・。

丸ビルの地下駐車場にまで犬を散歩させた挙げ句、床にウンコまき散らしてそのまま去っていく人がいるとは思えません。
ましてやエレベータやプッシュセンサー式自動ドアを突破しないとたどり着けない丸ビル地下駐車場トイレ。
野良犬野良猫の所行とも思えません。
しかもこれだけの量、グレートデンかセントバーナード級でなければ説明も付かないのであります。
そうなると出てくる答えは一つ。

人糞。
故意にまき散らされた人糞。
人のウンコ。

この時の脱力感と怒りといったらあーた・・・。

怒りに震える俺の後から来た男性が「ああ、またか」と顔をしかめる。
なんでも最近繰り返し起きている嫌がらせのようです。
ちょっとしたデジャブ。
以前住んでいた家の近くの西友の地下駐車場でも、同様の嫌がらせがあり、張り紙された上夜間使用禁止としてカギがかけられた事がありました。
西友と同じように、丸ビルも張り紙ぐらいしていてくれれば・・・。

そうしてくれてたら、俺は人糞を踏んだ男として一生十字架を背負って生きて行かなくても済んだんじゃー!

次の瞬間、ビルの管理会社に怒りのクレームを入れてしまったのでありました。
こんな嫌がらせが何度もあったのなら張り紙してくれ、変な奴を入れるな、ちゃんと管理してくれ等。
冷静に考えると何たる理不尽。
ビルは自分の会社の床にウンコまき散らされた被害者でもあるわけで、そこに怒りの電話をするなど筋違いも良いとこです。
担当者のつらさを考えると、バカなことをした、申し訳ないと猛省する次第でありますが、ですが言い訳もさせてください。

人糞を踏んで、足が糞まみれになってしまった男程、余裕を失った人間は居ないのではないでしょうか。

人糞は、男を最も余裕のない醜いクレーマーにしてしまうパワーを持っていた。

というどうでも良いお話。


もどる