バイクの下に、直径一メーターのオイル溜まり!?

写真を撮ったはずなんですが、何故か消えてしまって・・・。

この夏、あまりにも糞熱くて一ヶ月以上バイクを封印。
その間はオーバーヒートの心配のない国産オンリーの生活。
そんなわけで、ようやく涼しくなったので久しぶりに乗ろうかと思ってバイクに・・・すると・・・。

なんと直径一メートルものばかでかいオイル溜まり!

エンジン・・・終わった・・・。
オイルタンクのオイルも三分の一程度しか残っていない・・・。
とりあえずショップに電話をしてみたら「この熱さでオイルタンクからクランクにオイルが降りてきて、溜まりきったオイルがブローバイから溢れてるだけだから大丈夫」という返事。
溜まったオイルを処理し、ドレンパンをワールドインポートツールズで購入。
エンジンを掛けてみると、絶好調でアイドリング。
ブローバイからはまるで水道の蛇口をひねったようにオイルがびゅーびゅー吹き出してドレンパンにたっぷり。
オイルタンクにも泡だったオイルが戻ってきて、ほとんど継ぎ足しが必要なさそうな程。
というわけで、びびった割にはたいした事ありませんでした。

問題は何でこうなったかと言う事ですが・・・。
ハーレーはドライサンプなので、オイルは別体のオイルタンクにあり、エンジンがかかるとオイルポンプによってエンジンに送られるわけです。
しかし、ハーレーに限らないのですが、オイルタンクは比較的高い位置にあり、オイルポンプはエンジンに、しかも比較的低い所に有るわけです。
まどろっこしい言い方しましたが、つまりはエンジンがかかっていなくても、常にオイルは重力によってエンジンに向かおうとしており、それ(エンジンがかかっていないときにオイルが行く)を防ぐバルブが存在するわけです。
そのバルブはゴムじゃなくて金属ボールが使われているんですが、古いハーレーはこの精度がイマイチなんだそうでして、糞暑い日が何日も続き、その間エンジンをまったくかけずにおくと(エンジンをかければクランクに溜まったオイルはオイルポンプによってタンクに戻される)こういう事が起きるそうです。
あまりに酷い場合は、テーパーになった受け側とボールが荒れているのかもしれません。

フロントシリンダーのプッシュロッドカバーからオイルが漏れてくる。

特にエンジンがヒートしてくると酷い。
漏れが酷いときにカバーを触るとスカスカになっていて、冷えると収まる。
どうやらシリンダーが熱膨張するため、それほど熱を持たないカバーとの間の膨張差によって隙間ができてしまうようだ。
特にボアストロークアップで熱を持ちやすいエンジンなだけに、普通のエンジンよりもそれには弱い模様。
解決するには3つの方法がある。
・エンジン冷却を推進してエンジンのヒートを防ぐ。
・カバーのパッキンを厚い物に変え、ヒートしても隙間ができないようにする。
・気温が高いときには乗らない。
まずは最初の冷却。
空冷バイクなので、オイルクーラーぐらいしか手段がない。
現在付いている純正オイルクーラーはもうガビガビのパーで、冷却能力は結構落ちていると推測できる。

しかし、どうせ換えるならもっと高性能な奴が良いなぁ。
アールズなどのオイルクーラーにしようか・・・。
しかし、ちょっと嫌な噂を耳にする。
「シングルグレードオイルの場合、国産用の細かいコアのオイルクーラーは使えない」
という物だ。
悩んでいてもしょうがないので、ショップに聞いてみた。
すると、普通に売られているオイルクーラーなら大丈夫らしい。
ただ、サイズが馬鹿でかい奴は、オイル排出量が追いつかない場合があるので、ほどほどのサイズの方がいいという。
早速カタログを吟味。
まあ当然ではあるのだが、結構なお値段。
こりゃ来年ですな。
冷静に考えると、オイルクーラーつけたところで渋滞にはまったらやばいわけでして・・・。
確かカワサキZシリーズ用に、電動ファン付きオイルクーラーがリリースされていたはず。
デザイン次第で考えてみますか。
尚、最近アメリカで流行っているビレットオイルクーラー。
これはアルミのパイプにフィンが付いているだけの、超簡単な機構のオイルクーラーでして、ストレッチしたフレームであれば従来のオイルクーラーと併用可能。
しかもただの一本パイプなので、オイル圧云々にあまり影響しないされないという、かなり良さ気な代物。
面白そうなので値段を調べてみると・・・なんかとんでもない値段がする。
アルミパイプ削っただけなのに・・・と思ってたら、V-TWINに2万弱の安い物を発見!
これならいけそうだ。
だけどお金がないので今はパス。
ちなみにVツインのビレットオイルクーラーには、左右一体型の奴があります。
無論それだと従来のオイルクーラーとの併用はできそうにありません。
併用を考えるのであれば、ジョイントの向きだけでなく、長さも重要。
ボックス型をオフセットすることである程度カバーできるでしょうが、この辺は慎重に行った方が良さそうです。

とまあそんなわけでして、金額的に一番現実的なプッシュロッドカバーのパッキンの交換をしてみる。
カスタムクロームのパッキンセットが在庫であったので購入。

右側の純正に比べ、厚みがこんなに違う。

ちなみに上の写真のように、購入したパッキンは前後シリンダーの上下全部がセットになっていた。
しかし、漏れるのは前シリンダーの下側だけなので、今回使うのは二枚だけ。
どうせ換えるなら上下換えればいいと思うだろうが、実は上下換えるとちょっとした不都合が起きることが予想されたのでやめ。
不都合については後述。
尚、このプッシュロッドカバーは、80年式以降だと形状が違う模様です。
私のは80年式なので、本来この形状ではないはずなのですが・・・気にしない。
まずはカバーを外し、クリップを外します。
穴にドライバーを差し込む等して傷を付けないように外します。
クリップの下にある一段ふくらんだ部分は別バーツになっており、その下にはスプリングが入っていて常にクリップにテンションを掛けている構造です。
内側の金属感丸出しの内側のパイプも別パーツで、こいつがヘッドの方でキノコの笠のような構造を持っており、クリップは先ほどのスプリングが入った膨らみと、この内側のパイプの笠の間を押し広げる構造。
クリップを外すと、パイプはフリーになるわけです。
しかし・・・パイプの内側にはプッシュロッドがあり、当然パッキンもプッシュロッドをまたぐ形になるので、どちらにしてもプッシュロッド自体の取り外しも必要。
引っ張っても外れませんので、プッシュロッドを緩め、取り外さなければなりません。
上下同サイズのレンチが必要。
油圧リフターの場合、薄いレンチが必要で、北川商会等でリリースされていますが、私のソリッドは純正工具の厚さで大丈夫でした。
というわけでこんな感じで緩めてパッキンを入れ替え。


プッシュロッドを元に戻す。
ちなみにこの木製クリップは、北川商会で売っていた物。
表面処理がされてない木製のクリップは、オイルでも滑らないナイスなパーツ。
プッシュロッドの調整ですが、上死点で、オイルが付いた指で回そうとした場合、力強くつままないと回らないくらい・・・なんだそうです(注・これはS&Sストローカーの私の車両の場合の調整法であり、他の車両のソリッドの調整法とは異なる可能性があります!もし自分で調整する際には、必ずかかりつけのショップなりにご相談の上行ってください)。
あまり細かいことは気にしない。
プッシュロッドの調整が済んだら、カバーを元に戻す。
しかし、パッキンが厚くなった為かなり力を入れないと、カバーを押さえるパーツをはめることができない。
前述した“不都合”というのはこのことです。
上下とも倍以上の厚さのパッキンになったら更に・・・。
ウエスを介して思いっきり下に押さえつけることで、ようやくカバーがつきました。

同じくインテーク側も作業。
これでオイルリークにさよならです。
しかし・・・この時は、とある失敗を犯していたこと気付かなかったのであった・・・。
続く

 


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